27mmの聴神経腫瘍で、低音域の聴力があったため、可能であれば聴力を温存しようとABRを見つつ腫瘍を減圧しました。顔面神経も0.1mAでの反応を保ちつつ腫瘍切除を続けました。残念ならが今回は途中でABRの反応が低下し、やむなく8番の温存は断念しました。8番以外の全ての脳神経を温存し、0.1mA刺激での顔面の反応も保ったまま、90%以上の摘出を達成しました。福島先生のご指導のおかげで、この腫瘍の摘出のnuanceがかなりわかってきました。
術直後はごく軽度の麻痺であったのが、2-3日でHG grade 4の顔面麻痺になりました。0.1mAの反応が保たれていいる場合はほとんどは術後麻痺が生じないのですが、時折学会でも報告されている現象です。腫瘍は予定通り90%ほど摘出されています。